『ラチェット&クランク5 激突!ドデカ銀河のミリミリ軍団』のプレイ感想とレビュー。
#概要
開発は『ハイインパクトゲームズ』。調べてみたところ、インソムニアックゲームズの子会社らしい。インソムニアックは、『ラチェクラシリーズ』や『Marvel’s Spidermanシリーズ』、『RESISTANCEシリーズ』の開発会社である。あとスパイロもそうだったっけ?
ハイインパクトゲームズの方は、ラチェクラとジャック×ダクスターのPSP作品を3つ開発した他、3DSやXBOX360等でもいくつか作品をリリースしている模様。最近の開発実績は見当たらなかった。
なお、今作は3つの機種でリリースされているが、この記事はPS5版(PSP版の移植)をプレイした体で書いていく。
#戦闘(ゲーム性)
PSPの作品という事を考えると努力は認められる
元々がガラメカと呼ばれる多種多様な武器でド派手に敵をぶっ飛ばしていくゲームだったので、PSPのような携帯機でそのゲーム性をどこまで再現できるのか気になっていた。
このシリーズ一番の持ち味である、個性豊かなガラメカを活用して派手に敵をコテンパンにしていく面白さは健在。
爆弾、火炎放射、ミサイル、小さなロボット召喚…など、過去作にあった物は一通り揃っており、変わらぬ爽快感を提供してくれる。
使えば使うほどガラメカのレベルが上がり、性能が上昇していく。
このシステム自体は2から存在しているが、このシステムのおかげで色々なガラメカを使ってみたくなる好奇心に駆られる。
経験値も稼ぎやすいのでゲームを進めていれば勝手にレベルが上がるし、戦闘に変化や目的が生じるのでゲーム進行においていい刺激になった。
その言葉通りで、『避けたつもりが被弾していた』という事象がかなり発生する。
一発の被弾がかなり大きいゲームであるが、カメラワークの悪さとこの事象のおかげで敵の攻撃がかなり避けにくい。バランスが悪ければこのあたりの作りも雑で、プレイしにくさを強く感じられた。
ガラメカの種類が歴代と比べて少ないように感じられた。また、個性的ではあるのだが過去作に登場していたガラメカ(あるいはそれに似たガラメカ)がほとんどだったので、目新しさを感じられなかった。
3の『ディスクランチャー』や、4の『スコーピオンテイル』のようなオリジナリティのあるガラメカの登場を期待していたが、それは叶わなかった。
カメラがかなり近く、見通しが悪い。
更に、狭い所や壁際での戦闘となると、敵もラチェットも何も見えなくなる。敵の攻撃力が極めて高いためあまりミスが許されないバランスであるくせに、ミスを誘発するようなこのカメラワークがかなり厄介だった。
#グラフィック
PSPにしては頑張ってる。
元がPS2やPSP時代のゲームという事を考えると、標準レベルはあると考えていい。つまり、そのことを加味すると普通程度の評価となるか。
しかし、一点だけ不満があったので触れておく。
具体的に言えば、『ナイトメヤー』のこと。画面にもやがかかっていてかなり見づらい。
後述する敵の火力の大きさから、画面の把握がかなり重要となるのだが、それを踏まえるとこの視界の悪さはかなり致命的に感じられた。
#ストーリー・キャラクター
かなり短い。
話のノリはいつも通り…だが、ギャグ要素が若干薄め。というよりは、ストーリーが短すぎてイベント自体が少なかった。
ラスボスはぽっと出というほどではないが、最後の最後までほとんど出番がないのでとても影が薄いキャラだった。3以降敵役として登場してくるネファリウスに比べると、記憶に残らない存在だった。
まぁ、そもそもストーリーにそこまで期待するようなゲームでは無いので、正直どうでもいい欠点ではあるのだが…
#システム・その他
チタニウムボルトの入手状況をいつでもシップから確認できるのが便利だった。
この手の収集物は、メモを取っておかなければ取得状況を確認できないことが多いので、その手間をゲーム側で省いてくれるのは親切でよろしい。
今作には、『スカイボードレース』、『クランクアリーナ』、『ジャイアントクランク』の3つミニゲームがある。
ジャイアントクランクはそうでもないが、他の2つはチャレンジの数がそこそこ多い。上でも書いたがアーマー獲得に関わるものなので、そちらの制覇を視野に入れるのならばこれらも制覇しなければならない。
ここは賛否が分かれそうなのだが、個人的には好きになれなかった。まず、ミニゲームが面白くない。二つ目に、それをやりたくてこのソフトを手に取っているわけでは無いのに、アーマーというコンプリートしてみたくなるような要素に無理矢理絡められるのは変な話”余計”に感じられた。
ストーリーも寄り道も何もかもが少ない。
本編クリアだけだと3,4時間もかからない程度の尺であり、寄り道も上述したクランクアリーナとボードレースのみ。
他にやることと言えばガラメカのレベルを上げるぐらいだが、やり込みというにはあまりにも浅い。携帯機という事情を鑑みても、このボリュームの薄さは褒められたものでは無かったと思う。
ラチェクラと言えば、バトルアリーナというイメージがあった。しかし、今作ではそれが無い。
純粋なバトルを追求したコンテンツであり、敵をゴリゴリに叩きのめしていくこのゲームの最も面白い部分を堪能できるものでもあった。
代わりなのかどうかは知らないが、クランクアリーナは存在するのにラチェットのアリーナが無かったのは少々疑問だった。
#調整
率直に言って、悪い。
ボルトの入手量がかなり多く、ガラメカの購入に苦労しないのは楽で良好だった。
色々なガラメカを手に入れてぶっぱなすのが面白いゲームなので、そこのハードルが低めに設けられているのは評価点。ストーリーを一周するだけならば、無駄な稼ぎは一切することなく進められた。
2つ目のステージから、既に雑魚敵の攻撃一発で体力の半分以上を削られる有様。最後までこのバランスは続き、2,3発も攻撃を食らえば死亡する場面が多い。
アーマーをきちんと揃えればこの限りでは無かったのかもしれないが、前述の通りアーマーを揃えるにはミニゲームをこなす必要があり、無駄な寄り道を強要されるのであまり乗り気にはなれない。
それに加えて、バリアーを張れるガラメカの入手時期もかなり遅く、理不尽に大きい被ダメージという問題が終始まとわりついていたイメージが強い。
#総評
※このソフトを遊ぶ際、何に期待していたか、あるいは何に期待していなかったかで配点が若干ながら変化します。また、各ソフトに独自項目を10点分設けています。
期待していた項目
- 戦闘
期待していなかった項目
- グラフィック
- ストーリー・キャラクター
(ゲーム性)
変わらぬ爆破。変わらぬ爽快感。
携帯機になろうとも作りが雑だろうとも、変わらない面白さは健在だった。
普通。元々グラフィックを売りにしているゲームでは無いが、文句のない程度の質はある。PS5向けにリマスターされているということだったが、ムービーの画質は荒いので注意。
・
キャラクター
話が短く、比較的淡々とした内容。ギャグ要素も薄め。敵のキャラ付けも薄く、感じるものはない。
・
その他
不便なところはなし。隠し要素は全てゲーム内のアイテムや仕様で網羅できるため、その点は便利だった。しかし、ミニゲームの主張が強すぎるように感じられ、やりたくもないのに強要される場面があって少々邪魔に感じられた。
また、ボリュームがかなり控えめだったので、そこは素直に不満だった。
敵のダメージが大きすぎる。この一言に尽きる。
終盤がこのバランスならまだしも、序盤からこのバランスなのでプレイしていて不満と疲弊感があった。
もう少し被ダメを減らすか、強いアーマーの入手方法にミニゲームを絡めないでほしかった。
(独自項目)
全体的な作りが雑に感じられたのは事実だったが、プレイフィールはいつものラチェクラといった印象。
かなり昔の携帯機でここまで再現出来ていたのは評価点だったと思う。欲を言えば、もう少しラチェクラらしいギャグ要素があればなぁといったところだが、まぁそこは許容範囲か。
『ラチェクラ』を携帯機でどこまで再現できるのかを挑戦したゲーム。
物足りない部分や残念だった部分が多々見受けられたが、努力は認めたくなるような出来。
個人的にはカメラワークとゲームバランスの悪さがかなり致命的に感じられたが、そこを除けばラフなラチェクラといった感じだったので、PSP版発売当時の事を考えると結構頑張った作品だったのでは?
現在はパラレルトラブルが最新作だが、シリーズ続編は出るのだろうか…?もし出る予定があるなら、もっとはっちゃけたノリにしてほしいですね。
終わり。
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